Mさんへ 中古パーツ

モノラルの装置は大半が中古を使ったものです。
中古と言っても放送局で使っていたものの
放出品です。
アームひとつみても50年代に放送局で使っていたもので
新品で買おうとしたってあるものではありません。
ターンテーブルもそうです。
設計製作した人(Nさん)が言うには
業務用(放送局向け)に使われているパーツは民生用のそれとは
内容が違う。兎に角いい物を使っているので
音が良く長持ちする。30年40年十分使えます。
最初高いと思っても結局安くつく。
というのが自論の人でした。そしてモノラル派でした。
スピーカーもアルテックの604Eというユニットは放送局で使っていた
もので中古でしたが、
目指すものでワンセット組み立てるだけでも時間が掛かったことです。
質がいい部品で50年でも問題なく使える、そしてなかなか出回らないと
なれば中古市場でも値段は高いものです。
Westrenの真空管やトランスは一つ買うだけで
民生用のステレオセットが買えてしまいます。
Nさんは、安いのを買っても満足できないので買い換えていく。
納得できる音にたどり着くまで相当のお金をつぎ込むことになる。
安物買いの銭失いですよ。と
口癖のようにそういっていました。
そしてその通りで、40年使い続けて、真空管が1本切れただけで
それ以外の故障はありません。
当時の業務用部品の信頼性の高さは 証明されています。
当然ながら新品はさらに高いでしょうが・・・売ってはいるでしょう。。
日本にあるMJ(無線と実験)のような専門雑誌の米国版があります。
ネットでも探せますが・、
放送局では10年使った機械やパーツは入れ替えるそうですから
(今はどうかわかりません)
待てば、そういう専門パーツは入手できたようです。
そういうマーケットもあったようです。
秋葉原や大阪では日本橋に行けば今でもあります。
NYではグリニッジ近く(タワーレコード近く)で店に入ったことはあります。
Nさん曰く、業務用部品は10年で駄目になるようなものではない、
払い下げられてから50年は使える代物です。・・・と。
Nさんにとっては、中古部品で十分で何ら問題はなかったからだったと思います。
中古部品を使うのは嫌だから新品を使って組んでと注文受けたら
それはそれで作ったと思います。・・そういう客はいたかも知れません。
金さえ払えば何でも買えますから・・。
Nさんはモノラル派でした、
1人の客からステレオにして欲しいと頼まれ
けっして思う音にはならないと断ったそうですが、どうしてもとせがまれて作ったそうです。
結局駄目だったと聞きました。高級ドイツ車が買える費用が掛かったはずです。
その時のはなしでは
「そもそもカートリッジは発電装置だけど起電量が小さい、
それをステレオとして2回路にすば電気の量はさらに小さくなり
モノに比べると不利にならざる得ない。それが一つの理由です。」と。
確かにモノですとオーケストラなどでは楽器の構成や位置関係が
聞き取り難い点は否めないですが・・。
オーデオの専門家でもモノでいいという人はいます。
佐久間駿さんもそのようです。
立体音がリアリティがあっていいと思うか
モノでも音の質感にリアリティを感じるか
人それぞれですから、それ以上はなんともいえません。
先日のWestrexの昇圧トランスも中古でした。中古の値段は今も変わらないようです。