Mさんへ
日本はやっと紅葉の季節です。
鹿児島はそもそも自生している紅葉する木は
櫨ぐらいです。楓もありますが日本の東北に比べたら
ほんのわずかです。
10月のペンシルバニアからケベックにかけての北米大陸東海岸の
紅葉は忘れられません。すでに冬枯れの風景でしょう、その季節の
景色もいいです。そのスケール感は日本では味わえません。
今年の8月あのオーデオショップの永野さんは83歳で亡くなられました。
自分で作ったアンプの修理にアメリカまで行く人は、そういないでしょう。
10年前私の家へ訪ねてこられたとき「いやー、私が行かなきゃ修理を任せられる
人がいないといわれればしょうがないんですよ・・」と嬉しそうに話された時の
顔を思い出します。
http://blog.livedoor.jp/audio_tom/archives/cat_1096676.html
永野さんの人生も波乱万丈でした。
生まれが神戸の貿易商で裕福な育ちのせいか、その考え方、哲学や美意識
価値観は垢抜けされていたように思えました。
でも鹿児島の田舎の風土には馴染めなかったとも見えていました。
寺の坊さんと話しましたが「あの方の価値観を理解する人は少なかった」
と・・・。
最近市内のオーデオショップ(メーカーのオーデオだけ置いてある)
に立ち寄ると見慣れたプリアンプが床の隅に置いてあったので、
「これ永野さんのアンプでしょう、故障したのですか?」と
店長に尋ねると「そうですよ、修理依頼で持ち込みです、
40年前のもので修理は出来ません、いいアンプがあると
話しているところです。」と、::こんな古いものを・・・と
言いたげでした。 私にはショックでした。
音が出なくなり、どうしようと狼狽、落胆している人の気持ちが
分かるからです。私もそういう不安を抱えています、が、
永野さんは民生用と業務用はそもそも材質が違うので私の使う部品は
50年でも大丈夫です、と
故障といっても真空管やオイルコンデンサーは寿命がありますので
それを換えさえすればいいだけです。と豪語していました。
私の場合35年になりますが、6550が一回切れただけで、
毎日電源入れていますが、問題は起きていません。
真空管は秋葉原の真空管専門店で一通り買ってストックしています。
これも永野さんの予言とおりで
メールでアイドラーの話していますが
まだ解決していません。
製作を依頼しているのですが
ワウフラッターについて自分でもできることをと
モーターを分解してみました。
オーデオショップの広告ではオイルやグリスの劣化で硬化してワウフラッターなど
の原因になるからメンテナンスが必要と、そしてオーバーホール費用代が
表示してあります。ので気がかりで・・・永野さんは「構造がシンプルなので
油さえ注せば故障などしません。」と言っていました。
分解した結果は永野さんの言っていたとおりでした。
オーバーホールの必要な箇所はありませんでした。
昭和55年製造とあります。1980年、38年前です。
局用の放出品と聞いていましたが新品を取り付けてくれていました。
放送局は10年サイクルで部品や機械を入れ替えるので
そのお下がり、と聞いていましたので1970年だろうと思っていました。
民生用は何でも10年で壊れるように作られています。
こんな長持ちする良い機械が作れるのに・・・・
日本製は・・・
永野さんの冥福を祈ります。